地域農業のEひと 村元 誠一(むらもと せいいち)さん
片道30分の畑でのびのびと 彦根市・武奈(ぶな)町 唯一のゴボウ農家
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武奈町の土壌で育ったゴボウは、風味とシャキシャキ感が格別です。ぜひ味わってみてください。
独特の土壌で育つおいしいゴボウ
今では廃村となってしまった武奈町で、約10年前からゴボウをメインで栽培しています。自宅から畑へは片道30分もかかりますが、それを上回る魅力が武奈町の土壌にあると思っています。鉄分を豊富に含む赤色の土で育ったゴボウは、皮の色が美しい白色で、風味とシャキシャキ感が一般のものと比べて強いのが特徴です。その優れた土壌を活かして武奈町はかつてゴボウの産地として知られていましたが、廃村化に伴い、私が唯一の生産農家となってしまいました。この土地で育ったおいしいゴボウを一人でも多くの人に届けたいという気持ちで栽培に取り組んでいます。
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ゴボウの作付面積は0.3aといえども、収穫は全て手作業。身体がすっぽりと入る深さまでスコップで掘り起こすのには時間がかかります。
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作業中、聞こえてくるのは鳥の声だけ。猿も多いので、畑の周りを柵で囲んでいます。
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赤色で粘土質な土が特徴的です。
出荷の工夫とおすすめの食べ方
私が栽培するゴボウは、おおむね11月下旬から1月下旬まで直売所4か所へ出荷します。雪が積もると畑へ行けないため、降雪期は別の場所で貯蔵するなどして出荷期間を長くできるよう工夫しています。
食べ方は、特徴の風味や食感を活かしたたたきごぼうやきんぴらがおすすめです。かき揚げにしても、風味を味わうことができとてもおいしいですよ。色が白いので、正月料理などハレの日にも使っていただけたらと思います。
雄大な自然に囲まれのびのびと
武奈町での野菜作りは、38歳の時からずっと続けています。雄大な自然に囲まれ、のびのびと畑仕事をするのは最高ですよ!携帯電話はほとんど繋がらず、猿などの獣害も多いし、水やりは川からポンプで引き上げる必要があるなど不便なことを挙げたらきりがないです。しかしながら、やはり農業の一番の魅力は収穫する瞬間で、自分が育てたものが形になるとうれしいです。これからも不便さと上手く付き合いながら、とにかくおいしい野菜を作れるよう、農業に励んでいきます。
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彦根市武奈町(鳥居本町)(ひこねし ぶなちょう、とりいもとちょう)
村元 誠一(むらもと せいいち)さん
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■主な生産作物(令和2年度)
ゴボウ 0.3a/その他野菜・花卉